講演会レポート

講演会レポート

ものづくりの魅力を知ってもらおうと佐賀県が推進している「もの恋」プロジェクトでは、ものづくり現場の雰囲気や職人たちの情熱を伝えるために高校生に向けた講演会を行っています。
第1弾は、まちづくりの"メッカ"大阪府東大阪市で、小型人工衛星の開発に携わった、自称"町工場のおっちゃん"こと青木豊彦さん(71)の講演です。 取材年月:2016年12月

演題
若者に伝えたいんや! 町工場のおっちゃんが語る「宇宙に届けた"ものづくりの心"」

講演会レポート

「アオキ」がある東大阪市は、人口50万人のまちで、ものづくりの中小企業が約6千社もあります。しかも、他社にはまねできない、独自技術をもつ企業が数多くあります。私の会社も従業員数35人の小さな鉄工所ですが、米国ボーイング社の認定工場になり、航空機部品を製造しています。
人工衛星開発の話が持ち上がったのは2000年ごろ。当時の東大阪は景気が悪い上に、現場に若者がおらず、まち全体が暗く沈んでいました。このままでは優れた技術が継承できず、ものづくり産業が廃れてしまうという危機感でいっぱいでした。
そこで、中小企業の仲間たちと人工衛星の開発プロジェクトを立ち上げました。「われわれでも人工衛星を作れんねんで」という姿を見せ、東大阪に元気を取り戻し、若者にものづくりの世界に入ってきてもらおうと考えたのです。
2009年1月に小型人工衛星「まいど1号」の打ち上げが成功。おかげで東大阪は、世界中から見積もりの依頼が来るようになりました。また、国内は主に東北や北陸の学生が、海外からも米国の高校生や中国の大学生が東大阪の工場見学に訪れるほどになりました。現在、アオキは大阪市立大学医学部と協力し、医療機器の開発にも取り組んでいます。

「仲間」と「誇り」

人工衛星打ち上げ 青木さん講演 高校生の君たちに、ぜひやってほしいことがあります。まず、一生付き合える仲間をつくること。私が尊敬する人が「『儲(もうけ)』という字は、『信じる者』と書く。信じる者同士が事に当たれば儲かる」と教えてくれました。心から信じ合える先生や友人ができれば、心が豊かになり、おのずと利益もついてくるのです。
もう一つは「誇り」を持つこと。日本には創業100年を超える企業が約2万7000社あるそうです。欧米と比べてもはるかに多く、日本は本当にすごい国だと思います。私の会社がボーイング社の認定工場に選ばれた理由は、「社員の目が輝いていたから」でした。技術と品質が高いのは当然。差が出るのは、一人一人がいかに、自分の会社や仕事に誇りを持つかなのです。
これからは皆さんの時代です。この日本、佐賀に生まれ、この高校で学べたことを誇りに思いましょう。一生懸命ものづくりを勉強し、夢に向かって頑張ってや!

生徒たちの感想

  • 生徒01 (電子情報科3年)
    生徒01 何事も明るく前向きにチャレンジする大切さを学びました。卒業後は工業大学に進学。将来は自動車開発の仕事に就き、お年寄りも安心して運転できる車づくりに挑戦したいです。
  • 生徒02 (機械科3年)
    生徒02 たとえ大企業でも、中小企業の力なしでは大きな事業は成しえないと実感しました。卒業後は鉄道会社に入社。プロとしての誇りを胸に、安全第一を心掛けた運転手になりたいです。
  • 生徒03 (建築科3年)
    生徒03 私も創業100年以上の地元企業に就職する。その歴史と誇りを受け継ぐ存在にならねばと、気持ちを新たにしました。二級建築士の資格を取り、一人前の建築士として貢献するのが夢です。
  • 生徒04 (建築科3年)
    生徒04 地元で自営業者として懸命に働く父を、改めて誇らしく思いました。卒業後は大工になります。いつか独立して自分の会社を起こせたら、社員が誇りとやる気をもてる職場づくりに励みたいですね。
プロフィール
青木 豊彦さん
株式会社アオキ取締役会長/東大阪市モノづくり親善大使 青木 豊彦 (あおき・とよひこ) 1945年大阪府生まれ。高校卒業後、父が経営する鉄工所に入社。1995年、2代目社長に就任。97年に米ボーイング社の認定工場になる。2002年に「東大阪宇宙開発協同組合」を設立。人工衛星「まいど1号」開発プロジェクトを成功させ、大きな話題を呼ぶ。現在は「有限責任事業組合航空宇宙開発まいど(LLPまいど)」会長、和歌山大学客員教授、大阪市立大学学長特別顧問。
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