講演会レポート

講演会レポート

佐賀県が推進する「もの恋プロジェクト」では、ものづくりの魅力を若者たちに伝えるために、県内の各工業系高校でものづくり講演会を行っています。10月18日には敬徳高校(伊万里市)に、ホンダF1チームの総監督として活躍した桜井淑敏さんをお招きしました。 どんなに困難な状況でも挑戦を続け、日本の自動車技術を世界に知らしめた桜井さん。その熱いメッセージを紹介します。 取材年月:2017年10月

演題
夢への挑戦 不屈の魂

講演会レポート

世界初のCVCC

株式会社レーシング・クラブ・インターナショナル 桜井さん講演 僕がホンダに就職したのは1967年のこと。当時、日本の技術力は低く、日本製といえば安かろう悪かろうと言われた時代です。しかし、小さな自動車メーカーだったホンダは、世界最高峰のF1レースに果敢に挑んでいました。僕自身もチャレンジ精神旺盛で、創業者の本田宗一郎への憧れもあって、入社を決めました。
最初の大仕事は、低公害エンジン「CVCC」の開発でした。大気汚染防止のために排ガス規制が厳しくなるなか、僕たちが世界で初めて開発に成功。ホンダの技術力が世界で認められたのです。それから数々の新型車やエンジンの開発に明け暮れたのですが、1984年にF1レースの総監督に任命されました。
ところがホンダは十数年ぶりにF1復帰したものの、レース中にエンジンが壊れるわ、最下位争いするわ、みじめな結果ばかり。そこで僕は考えました。ライバルとの比較や真似はやめて、ホンダならではの理想のエンジンを追求しようと

念願のF1制覇

株式会社レーシング・クラブ・インターナショナル 桜井さん講演 当時、ポルシェやフェラーリのレースカーは700~750馬力で、ホンダは650馬力程度。馬力重視のエンジンでは到底勝てません。だから世界一効率のいいエンジンを目指そうと、一から設計をやり直しました。
上層部は「常識外れだ」と猛反対でした。しかし諦めずに開発を続けたら、800馬力が出る新エンジンが完成し、燃費も30%向上。そのエンジンをレースに投入すると、わずか2戦目で初優勝し、1986年から2年連続で世界チャンピオンになりました。それは、100年以上の歴史ある欧米のモータースポーツ界で、日本のメーカーが成し遂げた大きな快挙でした。
近年はエネルギー革命の真っただ中で、電気自動車(EV)が台頭してきました。僕自身も今は、日英合同のEVスーパーカープロジェクトに参加。70代になった今も挑戦を続けるつもりです。
人はチャレンジするたびに、自分の限界を乗り越え、夢へと近づいていきます。若い皆さんも失敗を恐れずに挑戦し、人生を精一杯生きてほしいと願います。

生徒たちの感想

  • 生徒01 (自動車整備科3年)
    生徒01 ものづくりが大好きなので、貴重な話が聞けてよかった。卒業後は自動車メーカーに就職する。高校でとった多くの資格を生かして頑張りたい。地球環境に優しい車を増やすのが夢。
  • 生徒02 (自動車整備科2年)
    生徒02 勇気をもって挑戦し続けることの大切さを学び、感動した。将来は自動車の開発に携わりたい。ホンダの第一線で活躍した桜井さんは憧れの存在。目標として努力していきたい。
  • 生徒03 (普通科2年)
    生徒03 「諦めずに努力すれば成果は出る」というメッセージに励まされた。僕もチャレンジ精神をもって勉強と部活を頑張っている。その気持ちを忘れず、社会に貢献できる大人になりたい。
プロフィール
桜井 淑敏
株式会社レーシング・クラブ・インターナショナル 代表取締役社長 桜井 淑敏(さくらい・よしとし) 1944年東京都生まれ。1967年に慶応義塾大学工学部を卒業し、本田技研工業(株)に入社。世界初の低公害エンジンCVCCをはじめ、数々の新型車やエンジンの開発に携わる。1984年ホンダF1チーム総監督に就任。2年連続世界チャンピオンとなる。1988年に勇退後、企業のコンサルティング、講演・執筆活動などにまい進。2011年から英国を拠点とした世界最小の高性能モーター開発を指揮する。
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