講演会レポート

講演会レポート

佐賀県が推進する「もの恋プロジェクト」では、ものづくりの魅力を若い世代に伝え、就職に役立ててもらおうと、講演会を行っています。昨年12月11日は有田工業高校に、文具メーカー「キングジム」の社長、宮本彰さんをお迎えしました。「テプラ」をはじめとする大ヒット商品の開発秘話から、チャレンジ精神の大切さまで、熱いメッセージを紹介します。 取材年月:2017年12月

演題
新市場を切り開け
ものづくりの挑戦

講演会レポート

電子文具への挑戦

ラベルライター「テプラ」 キングジムは1927年に創業した事務用品のメーカーです。ファイルバインダーを主力商品とし、特に厚型ファイルは国内シェア第1位を誇っています。
ところが1980年代にコンピューターが登場すると、「ペーパーレス時代がやって来る」と言われ始めました。もしオフィスから紙がなくなったら、ファイルも不要となり、わが社には致命的です。そこで業績が好調のうちに新しい主力商品を作ろうと、1985年に電子文具の開発に乗り出しました。
考案したのは、ファイルの背表紙を作るためのラベルライター「テプラ」。文具だから価格は抑えたい。しかしテープの耐久性や、漢字変換の性能も確保したい。試行錯誤を繰り返すこと3年。ようやく発売にこぎ着けると、シリーズ累計950万台を売り上げる大ヒット商品となったのです。
開発当初は社内の反発も多くありました。しかし30年経った今、ペーパーレス化が進み、ファイル市場も5割まで縮小しました。新市場を切り開いたことが、会社の存続と未来につながったと確信しています。

失敗も財産になる

株式会社キングジム 宮本さん講演 2008年に発売した「ポメラ」は、文字を入力するためだけの電子文具です。メールやネットも、音楽もゲームもできません。パソコン全盛の時代に売れるわけがないと思うでしょう? ところが会議でたった1人、「ぜひ使いたい!」と言う人がいたのです。そこで失敗覚悟で商品化したところ、累計30万台を超えるヒット商品になりました。
10人中9人がいらないと言っても、1人が確実に買う商品はヒットする可能性があります。だからわが社では「打率1割でもいいから、ホームランを狙おう」と言っています。たとえ売れなくても、その理由を検討して次に生かすことで、失敗も財産となるでしょう。
僕はものづくりが大好きで、まったく世の中にない商品を発表する時はワクワクします。群れの中で最初に海に飛び込む「ファーストペンギン」の勇気がなければ、この達成感は味わえません。皆さんも失敗を恐れず、新しいことにチャレンジしてください。

生徒たちの感想

  • 生徒01 (セラミック科3年)
    生徒01 「9回失敗しても、10回目に当たればいい」という話が印象的で、私も失敗を恐れず挑戦したいと思った。卒業後は大学で広報を学び、ものづくりの魅力を伝えられる人になりたい。
  • 生徒02 (デザイン科3年)
    生徒02 まだ世の中にない商品を作り出し、ヒットさせる発想や企画力がすごいと思った。私もデザインの授業で、新商品を考案する難しさと喜びを体験した。今日の話を将来の糧にしたい。
  • 生徒03 (機械科3年)
    生徒03 卒業後は鉄鋼メーカーに就職する。企画・開発の部署に配属されたら、今日の講話を思い出したい。僕も「ファーストペンギン」を目指し、おじけづくことなく提案や挑戦をしたいと思う。
  • 生徒04 (電気科2年)
    生徒04 多数決ではなく、少数の意見に耳を傾けて開発を進める話に感銘を受けた。就職の志望先は自動車メーカー。開発の仕事を任されたら、僕もしっかり意見を出して会社に貢献したい。
プロフィール
宮本 彰
株式会社キングジム 代表取締役社長 宮本 彰(みやもと・あきら) 1954年生まれ。1977年慶應義塾大学を卒業後、祖父が創業した文具メーカーに入社し、1992年に3代目社長に就任。1985年に電子文具の開発チームを立ち上げ、1988年ラベルライター「テプラ」を発売。シリーズ累計950万台を売り上げた。2008年「ポメラ」、2010年「ピットレック」、2011年「ショットノート」など市場になかった画期的な商品の開発を続ける。
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