講演会レポート

講演会レポート

ものづくりの魅力や夢を若者たちに発信する、佐賀県の事業「もの恋」プロジェクト。その一環として、県内の工業系高校で「ものづくり講演会」を行っています。昨年12月13日は唐津工業高校に、テレビ番組「世界一受けたい授業」でもおなじみの大学教授、中村智彦さんをお迎えしました。ロボットやAIが登場する新時代を生き抜くために、技術の大切さを教えていただきます。 取材年月:2017年12月

演題
すごいぞ日本のものづくり!高校生に伝えたい地方の可能性

講演会レポート

時代の変化 敏感に

神戸国際大学経済学部 中村教授講演 今、日本では少子高齢化が進み、この5年間で95万人も人口が減りました。急激な人口減少により労働力が不足し、社会にさまざまな影響を与えています。
たとえば、家庭から専業主婦が消え、共働き世帯が増えたことで、宅配会社は大打撃を受けました。留守宅が多く、宅配便の再配達が急増したからです。それを解消するために、駅やコンビニなどで宅配ボックスの設置が進んでいます。
また、共働き世帯は休日にまとめて洗濯することが多く、そこをターゲットにコインランドリー店が続々と開業。業務用洗濯機を造る工場も活況です。
人はなぜものを作るのか?それはつまり、暮らしの困ったことを解決するために必要だからです。皆さんも時代の変化を敏感にキャッチして、「みんなが今、何に困っているか?」「解決するためには何が必要か?」を考える習慣を養い、ものづくりに生かしてください。

自分の頭で考える

神戸国際大学経済学部 中村教授講演 ここ数年、学生の売り手市場が続いていますが、油断はできません。かつてはどこの駅にもいた切符切りの駅員は、自動改札機の出現であっという間に職を失いました。ロボット技術やAIの発達により、大手の工場ほど人員削減が進んでいます。
皆さんには「機械に置き換えられる人材」ではなく、「機械を作り出す側の人材」になってほしい。そのためには自分の頭で考え、独自の技術を身につけること。新しい市場を開拓する努力も必要でしょう。ある金属加工企業では、下請け仕事だけではなく自社製品を持つため、スマホケースやアクセサリーなどを作り、自ら販売に乗り出すなど、新しい事業に果敢に挑んでいます。
また、さまざまな工場や工房などを見学し、技術や工夫を学ぶことも大切です。
佐賀の人は先進技術を取り入れるのが得意です。江戸時代から海外に学び、最先端の反射炉や焼き物、お菓子を作り、優れたものづくり文化を築いてきたのですから。若い皆さんの柔らかい発想で、暮らしに役立つ技術を開発し、日本のものづくりに貢献してくれることを期待します。

生徒たちの感想

  • 生徒01 (土木科3年)
    生徒01 今後ますます技術力が求められる時代になると感じた。卒業後は地元の建設・造園会社に就職する。柔らかい発想を生かしながら、街や施設などの緑化を通して社会に貢献したい。
  • 生徒02 (建築科3年)
    生徒02 労働者不足が進む中、私たちが今まで磨いてきた技術や知識を生かし、日本を支えていかねばと思った。卒業後は住宅メーカーで修業を積み、独立して立派な会社を作るのが夢。
  • 生徒03 (電気科3年)
    生徒03 何事も自分の頭で考えて判断し、行動に移すことが大切だと学んだ。就職先の自動車部品メーカーでも自分なりに工夫を重ねて、より良い製品づくりができるよう頑張りたい。
  • 生徒04 (機械科3年)
    生徒04 日本人が海外の技術に学び、ものづくりに生かす話が興味深かった。卒業後はボーリング機器メーカーに就職する。掘削や地盤調査などの技術をしっかり学び、次世代に継承したい。
プロフィール
中村 智彦
神戸国際大学経済学部 教授 中村 智彦(なかむら・ともひこ) 1964年東京都生まれ。1999年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了。大阪府立産業開発研究所などを経て現職。専門は「中小企業論」と「地域経済論」。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興のプロジェクトにも数多く参画する。「21世紀ビジネス塾」(NHK)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)などのテレビ出演や、中小企業経営者向けの講演会も行う。
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